
外反母趾の手術を主治医からすすめられたけれど、できれば手術をしたくないと悩んでいませんか?
でも、痛みはつらいし、好きな靴は履きたい、そして何よりも痛みとさよならしたいですよね。
外反母趾は靴文化がある欧米人に多い病気でしたが、日本人も明治時代以降に靴を履くようになってから足の代表的な疾患となり、多くの方が悩んでいます。
こちらでは、外反母趾の手術はどのようなタイミングで行うのかを解説いたします。
●そもそも外反母趾とは?
女性に多い外反母趾は加齢によって増加する傾向があり、靴だけではなく遺伝や足の形、筋力、足の柔らかさなど様々な原因があります。
外反母趾とは、足の親ゆび(母趾)のつけ根が人差し指側の方に「く」の字に曲がり痛くなる足の病気です。
足の甲にある第1中足骨が広がり、親ゆびは靴の先により中足骨とは反対の人差し指側に押し曲げられ「くの字」に曲がってしまいます。
さらに、親指が内側に閉じる動きをする母趾内転筋に引っ張られることでつけ根でねじれながら「くの字」に曲がってしまうのです。
親指の曲がりが進むと、親指が人差し指や中指の下に入り込んで親指によって押し上げられると、人差し指や中指のつけ根の関節が足背側に脱臼することもあります。
親指のつけ根にコブのようなものができ、靴に当たって赤くなってはれたり、痛みに悩まされたりする人も多い病気です。
症状が進行していくと、ちょっと触るだけでも痛かったり、親指と人差し指が重なったり、裸足で歩いているときも、親指の関節に負担がかかり曲げるだけで痛むようになります。
さらにそのコブのようなものにある神経が圧迫されることにより親指にしびれがでることもあります。
参考:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hallux_valgus.html
●外反母趾は必ず手術しなくてはいけないの?
日本整形外科学会の外反母趾対策ガイドラインでは、15度以上親指が曲がっていると外反母趾としており、15~20度で軽症、20~40度で中等度、40度以上で重症と分類されます。
参考:https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0200/G0000735/0001
外反母趾と診断されたら必ず手術しなくてはいけないわけではありませんが、親指が中等度以上に曲がり、指の曲がりやねじれ、痛みなどの状態によっては手術療法が必要な場合もあります。
足は28個の骨が筋肉や骨と骨とをつなぐ靭帯(じんたい)、骨と筋肉をつなぐ腱(けん)などに支えられて形が作られていますが、外反母趾は足先の形が崩れて動きが悪くなっている状態です。
歩くときに痛みを避けるための歩き方や、親指に力が入らず地面を踏み込むことができない歩き方で他の部位に負担がかかり、親指以外の足指や腰、膝などにも痛みが出ることもあるのです。
●外反母趾の手術を行う以外の治療方法や予防方法について
外反母趾の施術方法は、手術療法と手術をしない保存療法があり、保存療法は予防方法も兼ねていて、靴の選び方、装具療法、運動療法があります。
足にあわない靴を履くことは外反母趾の原因のひとつになるので、靴の選び方は大切です。
足は夕方になるとむくむので、夕方に実際に履いて、指先はゆったりした形で、足が靴の中で前に滑って指が靴にあたらない構造になった靴を選びましょう。
痛いところを除圧するパッドや、症状に応じて足の形に合わせたインソール(中敷き)を使う装具療法もあります。
装具による治療は痛みを減らす効果はありますが、使用を中止すると痛みがまた出てしまい、変形を矯正することにはあまり効果はありません。
筋肉は使わないと力が弱くなり、関節が硬くなってしまうので、足の指を開こうとするときに使う母趾外転筋を鍛えながら筋肉をストレッチしましょう。
足の指でグー・チョキ・パーの動きをしながら指を動かし、5秒間止めるようにしましょう。
どう指を動かしていいのかわからない場合は、自分の手で親指を内側に曲げるのを手伝ってあげましょう。
●外反母趾の手術方法にはどのようなものがある?
様々な術式の手術がありますが、親指の曲がり具合や足部の形、年齢、仕事内容などを考慮して術式が選ばれますが、体への負担が少ない手術法は、骨を切る「デルモ法」です。
「デルモ法」は、小さな切開部から曲がった第1中足骨という足の甲の骨を切って横にずらすことで親指を真っすぐにして、ピン(針金)を入れて固定します。
手術後数日で立つことが可能で、生活の制限が比較的少なく、術後約1ヵ月後にピン(針金)を抜き、術後6週間~2か月後には通常の歩行が可能になります。
参考:http://hospital.luke.ac.jp/guide/32_orthopedics/hallux_valgus.html
●まとめ:外反母趾の手術はどのようなタイミングで行うの?
親指の変形が進み保存療法では痛みが抑えきれない場合は、手術療法を検討し始めますが、手術後は痛みを伴い、元通りの生活や仕事ができるようになるまでには3ヵ月ほどかかります。
痛みがなくても外反母趾であることを自覚したら放置せずに、こちらでご紹介した足指のグー・チョキ・パー運動などできることから取り入れて、痛みを最小限に抑えて親指が曲がらないように予防しましょう。
外反母趾は症状がすすむと予防や改善が難しくなるので、早めに対応することで変形を抑え痛みを伴う手術をすることが避けられます。