
外反母趾とは、親指が人差し指の方へ曲がってしまう足の疾患で、進行すると炎症を起こしたり、痛みが生じたりするようになります。
実は、外反母趾が影響を及ぼすのは、足だけではありません。
膝や腰、肩、首、顔、自律神経など全身に影響しているのです。
今回は、外反母趾が全身にどのような影響を及ぼすのか、その原因と予防策についてご紹介します。
●外反母趾の原因は遺伝の影響も考えられる
外反母趾というと、ハイヒールが原因というイメージがあるかもしれませんね。
たしかに、靴の選び方もひとつの要因となっていますが、外反母趾の原因はそれだけではありません。
遺伝や歩き方も、大きく影響しているのです。
遺伝的要因とは、足の形や骨格の構造が親から受け継がれているということ。
足の親指が人差し指より長い「エジプト型」というタイプの足の形や、靭帯の柔らかさ、偏平足などが遺伝すると、外反母趾になりやすいと言えます。
親が外反母趾だと子供も外反母趾になりやすく、歩き方や靴選びを間違うと発症の可能性が高くなります。
とくに18歳までの子供の外反母趾では遺伝的要素が大きいため、注意しなければなりません。
●外反母趾は全身にも影響する?
結論からお伝えすると、外反母趾は全身にも影響します。
では、どのような影響があるのか見てみましょう。
●膝の痛み
●腰痛
●ガニ股
●骨盤の歪み・ズレ
●むくみ
●冷え
●猫背
●首こり・肩こり
●顔の歪み
●疲れ目
●頭痛
●血行不良
●自律神経の乱れ
●生活習慣病
外反母趾は足の疾患ですが、ここにあげたように足から遠く離れた頭部にまで影響が及ぶのです。
では、なぜ外反母趾は全身に影響するのか、その理由について以下で解説いたします。
●外反母趾の痛みが影響して不自然な歩き方に
足は、私たちが立ったり歩いたりするための土台となる重要な場所です。
外反母趾が進行すると足の変形がひどくなり、親指のつけ根に炎症が起こり、痛みも出てきます。
すると痛む足をかばおうとして、不自然な歩き方になってしまいます。
バランスの崩れた歩き方をすることによって、様々な箇所に歪みやズレが生じます。
そして、猫背や骨盤・頸椎・顔の歪み、ズレなどにつながるのです。
また、足の裏には横アーチと外側縦アーチ、内側縦アーチの3つのアーチがありますが、外反母趾の方はこれらのアーチが崩れてしまっている方が多いのです。
足裏のアーチには、歩行時の衝撃を和らげるクッションの役割があります。
しかし、アーチが崩れてしまうとその影響によって、足裏にダイレクトに衝撃がかかるようになるのです。
すると、親指のつけ根やかかとに大きな負担がかかり、外反母趾がますます悪化してしまいます。
さらに、歩行時の衝撃は足裏にとどまらず、膝や腰、骨盤にも伝わるようになります。
それによって、骨格の歪みやズレが生じ、様々な不調となって現れるのです。
また、足裏のアーチの崩れと不自然な歩き方による影響で、重い頭を支えている首に過度な負担がかかるようになります。
そのため、常に首の筋肉は緊張を強いられ、それが原因となって自律神経の乱れを引きおこします。
自律神経が乱れると、血行不良や肩こり、体のだるさ、頭痛、手足のしびれ、めまいといった不調が現れやすくなるのです。
このように外反母趾は、全身に様々な影響を及ぼしています。
一見すると外反母趾とは何の関係もないように見える症状も、実は足から来ているケースもあるので注意しましょう。
●外反母趾の影響を体に受けない為にも予防は大切!
外反母趾による全身への影響を防ぐためには、予防することが大切です。
とくに、遺伝的要因のある場合は、外反母趾にならないように予防に努めましょう。
1.靴選び
サイズの合わない靴は、外反母趾の原因となります。
先の細い靴やハイヒールを避け、足指を動かしやすい靴を選びましょう。
靴を選ぶポイントは、かかとと甲まわりはフィットさせ、爪先は1~1.5㎝ほど余裕を持たせること。
紐靴やマジックテープのついた靴などは、足に合わせて調節できるのでおすすめです。
2.歩き方
足を着地させるときはかかとから、足の裏、親指のつけ根へと体重を移動させ、最後に足の指でしっかり地面を蹴り出すことが大切です。
足裏全体をつけてペタペタと歩くペンギン歩きになっていないか、チェックしてみましょう。
3.足指のトレーニング
足指のトレーニングを習慣化して、鍛えましょう。
・足の指で、グー・チョキ・パーをする
・床に敷いたタオルに足を乗せ、足の指でタオルを手前に引き寄せる
・両方の親指にゴムバンドを引っ掛け、引っ張ったり緩めたりを繰り返す
●まとめ:外反母趾などの足のトラブルは全身に影響する?
外反母趾は、膝痛や腰痛、猫背、肩こり、頭痛、自律神経の乱れなど、全身に様々な影響を及ぼします。
外反母趾の痛みから来る不自然な歩き方や、足裏アーチの崩れによって、骨格に歪みやズレが生じることが主な原因です。
外反母趾による全身への影響を防ぐためには、予防に努めることが大切。
正しい歩き方や靴選び、足指のトレーニングを習慣化することで、外反母趾にならないように心がけましょう。